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初の歌舞伎観劇2

目次

私は最初、その人が市川海老蔵さんとはわからなかった。

髪と髭がボーボーの主人公、団七が役人に紐で繋がれて出てきた。

と、その時、その人が市川海老蔵さんとはわからなかったのに、胸がドキドキし、心臓の鼓動が早まった。

同時に、周りのお客さんが拍手をしだした。

そして友人が言った。

きた。

そこでようやく私は、その人が市川海老蔵さんだと理解した。

華があるということは

華がある

よく使われる言葉だと思う。

市川海老蔵さんの歌舞伎を観た人は、海老蔵さんは華がある、という。

その通りだと思う。

私は、あの髪と髭がボーボーの、しょぼくれた背の高い男を見た時、それが市川海老蔵さんだとわからなかったのに、急に胸がドキドキして、心臓の鼓動が早くなったことを覚えている。

あの髪と髭がボーボーのしょぼくれた背の高い男が、市川海老蔵さんでなかったとしても、私は彼を見続けてたことでしょう。

つい、見てしまう。
目が離せなくなる。

華がある、というのは、そういうことだと感じた。

友人は語った

後に友人が語った。


あんなにキラキラした目で食い入るように見つめる、あなたの姿、初めて見た。

そうかもしれない。

私はまばたきするのも、もったいなかった。まばたきした瞬間に大事なことを見逃してしまいそうだったからだ。

私は、髪と髭がボーボーの、しょぼくれた背の高い男から目が離せなくなった。

続く