高千穂峡と滝
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滝
ボートに乗って、高千穂峡のきれいな景色を見に行くはずが、行きたい方向とは反対の、ロープが張ってある場所に流された私たち。
ボート乗り場に並んでる人々の注目を集めてしまってます。
中には、気を遣って、こちらを見ないようにしてくれてる人たちもいます。
とても恥ずかしいです。
一緒に乗ってる同期は、どんな気持ちなのでしょうか。ごめんなさい。
何かいろいろ教えてくれてた気がしますが、よく覚えてません。
もしかして、漕ぎ手を交代してくれるようなことも言ってた気もしますが、やはり覚えてません。
係員の方も何か言ってたような気もしますが、思い出せません。
このピンチをどうやって切り抜けたのか、思い出せないのですが、私はなんとか、船を行きたい方向に進ませられるようになりました。
さあ、やっときれいな景色を見に行けるぞ、と私は滝のある方向に向かいました。
すると、同期は言いました。
あんまり、あっち(滝の方)に行かなくていいからね。
同期の心配はもっともです。
船の舵取りを誤れば、上から注ぐ滝のシャワーを浴びてしまいます。
私は、用心しながら、慎重に滝を見に行きました。
ピンチ
船の漕ぎ方のコツを掴んだ私は、用心しながら滝に近づきました。
私は船を漕ぐので、進行方向を向いて座っておりますが、船の構造上、進行方向とは反対を向いて座ってなければならない同期は、どんな気持ちだったのでしょうか。
背後には迫りくる滝
眼前には、船を上手くコントロールできてない私。
同期の恐怖はいかばかりなのでしょうか
私以上に、同期は、さらなるピンチを迎えていました。
私は滝に近寄りすぎないよう、少し遠くを通るようにして、滝の横を通過しました。
残念なことに、滝の景色はよく覚えておりません。
同期は変わらず、不安で憂鬱そうな表情です。
当然です。
他の滝もありますし、帰りはここを通らないと帰れません。
漕ぎ手を替わろうにも、不安定な手漕ぎボートの上では危険です。
同期は、私にすべてを任せなければなりませんでした。
同期のその表情は、ズブ濡れになる運命を諦めて、受け入れようと、心の準備をしてるようにも見えました。