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保名

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やすな

保名とは、日本舞踊の演目の一つでございまして、悲しい事情により、恋人を失った男が、狂いさまよう様子を表現してる舞踊でございます。

私が、保名を初めて観たのは、市川海老蔵さんの古典の誘いというイベントでした。

今をときめく、千両役者の市川海老蔵さんの公演のチケットを確保するのは難しく、群馬音楽センターでの公演なら空いているということで、なんとかチケットを確保できたのは幸運でした。

会場の群馬音楽センターのホールに入りますと、定式幕に明るい照明、会場は、舞台がすり鉢の底にあるような造りで、客席は舞台より高く、半円型で横に広くなっております。

まもなく始まる合図の、柝が入りますと、まわりはざわつき、いろめきだちます。

照明が暗くなり、拍子木の音が早まります。
そしてその音が早まるとともに、シャーッとカーテンのように幕が開きました。

「成田屋あっ!」


幕が開き始めますと、大きな拍手が起こり、大向こうのかけ声もかかりました。

舞台中央の後方に設置されている金屏風の前に、何かの物体を確認できます。


物体は、黒い布と灰色の布のようです。
いえ、よく見ますと、人でしょうか、平伏し、ピクリとも動かず、気配もないので、何か物が置いてあるのかと思いましたら、平伏してる人でした。


かなり低い位置での平伏です。這いつくばっているような姿勢にも見えます。


黒い布と灰色の布は、着物と袴のようです。


拍手が鳴りやみ、一瞬の静寂の後、ピクリとも動かなかった男が、ゆっくり頭を上げます。

その男の顔が全容を現しますと、会場からは、さらに大きな拍手が起こりました。


舞台中央の金屏風の前で気配を消し、紋付袴で平伏してた男は、市川海老蔵さんでした。

口上

市川海老蔵さんが顔を上げ、姿勢を整え、ゆっくりと右を見て、またゆっくりと左を見て、そして正面を向き、視線を遠くの空を眺めるようにして、大きくお辞儀をしました。

すると、会場からは再び大きな拍手が起こりました。

市川海老蔵さんは、とても優しい声で、来場したお客様に丁寧にご挨拶します。

その時の口上で、私が覚えてる内容は

今回の保名の振り付けは藤間勘十郎さん

清元というのは、高音で江戸情緒溢れる音楽

保名が蝶々のカップルに嫉妬する様子


ということでございました。

その後、私は藤間勘十郎さんという方が気になり、何度か藤間勘十郎さんの舞台を観に行きました。


その時の藤間勘十郎さんの舞台の演目は、昼の部は保名、茶壺、京鹿子娘道成寺

夜の部は藤娘、鳥羽絵、春興鏡獅子

夜の部も観たかったのですが、残念ながら観れませんでした。
1日だけで、この演目ができるということが、どれだけすごいのか、私には想像がつきませんでした。

藤間勘十郎さんはものすごい方でした。