菊慈童と顔
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菊慈童
私が観た能狂言の舞踊に、菊慈童という演目がございます。
この菊慈童という物語は昔の中国のお話しで、王様に仕えていた慈童という少年が誤って罪を犯してしまった為に、山に追放され、その後、菊の露を飲んで不老不死となり、700年後に、周りに見事な菊が咲き誇っている山奥の家で発見されるというお話しでございます。
私は、話しがよくわからずに観てましたが、話しがわからなくても、主人公を演じる山村友五郎さんの、踊りがとても素晴らしかったので、山村友五郎さんの踊りと演技に見入っておりました。
私はその後、三越劇場で、山村友五郎さんの霧の雨という踊りも観たのですが、山村友五郎さんが姿を現すと、一瞬で空気感が変わり、私の知らない世界観に包まれたことを覚えております。
顔
上記の山村友五郎さんの菊慈童と霧の雨は、五耀會の皆様の公演で観ることができました。
その時の公演で思い出すことといいますと、司会の方が、日本舞踊は顔で演じてはいけないと言われております、というお話しです。
そして、その説明の裏では、メンバーの花柳基さんが、顔を柔らかくほぐして出番に備えてた、というインタビューでした(笑)
その時の、花柳基さんの流星と、国立劇場の時の身替り座禅を思い出しますと、花柳基さんの表情と動きと踊りのシンフォニーと申しましょうか、花柳基さんの楽しい人柄がにじみ出ておりまして、むしろ、どんどん顔で演じる花柳基さんも観たいと思いました。
また、身替り座禅の時に、主人公が帰ってきた時の低い姿勢の酔っ払っいぶりに、私も周りも、とても大きな笑い声を上げたことを覚えております(笑)