日本四大舞楽の一つ3
目次
林家舞楽、伝承曲目
日本四大舞楽の一つ、林家舞楽の伝承曲目は、燕歩・三台・散手・大平楽・喜禄・二ノ舞・還城楽・抜頭・蘭陵王・納蘇利の10曲ということでございまして、前回は太平楽までだったので、今回は喜禄からいきたいと存じます。
喜禄とは
安摩(あま)ともいわれ、頭には巻纓冠(けんえいかん)といわれるかぶりものを身につけ、顔には長方形の紙に白絹を貼り、誇張した眉・目・鼻・口を描いた蔵面(ぞうめん)といわれる抽象化した人面をつけ、扇形の笏(しゃく)を持って、襲装束(かさねしょうぞく)といわれるものを着て舞うということでございます。
喜禄の舞は奈良時代にインドの僧に同行して来た林邑の僧、仏哲という方が伝えたといわれております。
こちらの舞はインドの神話に由来して、地の神が酒に酔った様子を模したものと伝えられております。
巻纓冠とは
けんえいかんとは、武官の冠で纓を内巻きにして纓挟み(えばさみ)という木製黒漆塗りの切れ込みを入れた木片で留める仕様で、付属品として、老懸(おいかけ)という馬の毛をブラシのように束ねて扇形に開いた飾りがあるということでございます。
纓とは
えいとは、日本独自の冠の付属品で、背後の中央に垂らす部分でございます。
あごで結ぶ紐のことを指す意味もございます。
蔵面とは
ぞうめんとは、舞楽面の一つで、長方形の厚紙に白絹を貼り墨で人の顔を象徴的に書いたものでございます。
笏とは
しゃくとは、中国において、束帯の着用のさいに、右手に持つ細長い板でございます。
束帯とは
そくたいとは、平安時代以降の、公家男子の正装でございます。
襲装束とは
かさねしょうぞくとは、舞楽の中で一番多くの楽曲で用いられる、幾重にも衣を重ねる中国の唐風の装束でございます。
林邑とは
りんゆうとは、現在のベトナム中部に、西暦200年から750年頃まで存在したチャム族の国家でございます。
二ノ舞
翁と媼による2人の舞でございます。
おきなは咲面を着け
おうなは腫面を着けます。
先ほどの喜禄(安摩)と一対になっており、老夫婦が喜禄を真似て舞おうとするのですが、上手く舞えず滑稽な動きになる設定ということでございます。
この舞楽から、二の舞を演じる、という言葉ができたということでございます。
咲面とは
えみめんとは、舞楽の二ノ舞で使われる、老爺の笑顔をかたどった面。
腫面とは
はれめんとは、舞楽の二ノ舞で使われる、老婆のふくれっ面をかたどった面でございます。