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鬼の物語2

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鬼の物語2

かろうじて虎口を脱出した舞踊丸は、負傷した身体に鞭打って、闇夜の道なき道を進んだ。


くそっ…

まさか俺を狙ってくるとは…

早く安全なところまで逃げなくてはまずい。



淘汰が始まった


いつかその日がくるのが自然の摂理だが、力が衰えたわけではなく、油断したわけでもなかっただけに、舞踊丸は自分が標的になった理由を考えられずにはいられなかった。


あいつらの利害が一致したということか…


くそっ…


舞踊丸は、多くの追われた鬼の末路を見てきた。

山の中には、お宝を狙って、鬼たちがひしめき、その鬼たちは強い鬼の集団へ取り入って仲間入りしようと、虎視眈々とチャンスを窺っている。

強い鬼の集団を追われた多くの鬼が、その餌食になり、また、運良く下山できたとしても、追手を放たれ、狙われ続ける。


なんとか明るくなる前に下山しなくては…

くそっ…足が…

こんなにも動かなくなるものなのか…

この身体では、ほかの鬼に見つからないよう結界を張るだけで精一杯だ…

どうしたものか…



あたりは漆黒の闇に包まれ、聞こえてくるのは、虫の鳴き声と風の音…
そして風に吹かれる草木がサワサワとそよいでいる。

山深く、静かで穏やかな森の景色だが、結界を解いたら、たちまち鬼が集まってくるであろう。


なんとか無事に下山する方法はないものか…




動けなくなった舞踊丸はどれぐらいの時間、思案していただろうか…


ふと、気付くと、向こうからいくつもの松明の灯りが近づいてくる


ドクン!

舞踊丸は心臓の拍動を感じた。


しまった!


見つかったか?


どうする?


戦うか?

逃げるか?

それとも結界を張ったまま、やり過ごすか?


くそ!

この身体では…




続く