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縄文杉とポナパルト

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縄文杉とポナパルト

「あの山に登りたい、ずっと思っていたんだ。けれども明日にしよう。」


彼が山に登ることは、永久にないだろう。


ナポレオン・ポナパルト


私はこの言葉を聞くと、ある先輩を思い出します。


その先輩は山登りが好きで、日本各地の山を登っていました。

私は、常々、屋久島の縄文杉を見てみたいと思っていたので、日本百名山のうちの一つの屋久島の山と、縄文杉のことをその先輩に聞いてみました。

すると、屋久島の縄文杉を見るには、片道4時間、往復8時間の登山をしなければ、その場所にたどり着けないということでした。

その先輩は、「屋久島での登山と縄文杉ツアーは、もったいないからまだ行ってないんだ。先の楽しみに取っておいて、近場の山を巡ってから行こうと思ってる。」

と教えてくれました。

それを聞いて、なるほど、食事する時に好物を最後にしておきたい心境と一緒だ、と思いました。

それからしばらくして、その先輩は病気をしてしまい、48歳で亡くなりました。

その先輩が、私との話しの後、縄文杉を見に行ったのかどうかはわかりませんが、私はこのことから、やりたいことがやれるなら、すぐにやった方がいいということを、その先輩から教えてもらった気がします。


やりたいことが、今、できないのであれば仕方ありませんが、やりたいことは、やれるチャンスとタイミングが巡ってきたなら、やらないと、巡ってこなくなってしまうのだと感じました。


「あの山に登りたい、ずっと思っていたんだ。今日、やっと登れる。」


彼は素敵な景色を見ることができるでしょう。