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ハワード・サーストン

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ハワード・サーストン

ハワード・サーストンといえば、有名な奇術師だが、彼がブロードウェイにやってきたある夜の話しである。

彼こそまさに奇術師の王者、40年間世界の各地を巡業し、観客に幻覚を起こさせ、不思議がらせ、息をのませた奇術界の長老である。

6000万人以上の観客が、彼の為に入場料を払い、彼は200万ドルに及ぶ収入を得た。

サーストン氏に成功の秘訣を尋ねてみると、彼は少年の頃、家を飛び出し、浮浪者になって、貨車にただ乗りをしたり、干し草の中で寝たり、他人の家の前に立って食べ物を請うたりしていたのである。

字の読み方は鉄道沿線の広告を貨車の中から見て覚えたという。

純粋な関心

彼は奇術について特に優れた知識を持っているわけではなかった。

奇術に関する書物は山ほど出版されており、彼と同じ奇術について知っている者は大勢いるという。

ところが、彼は他の人に真似できないものを二つ持っている。

第一は、観客を引きつける人柄である。

彼は芸人としての第一人者で、人情の機微を心得ている。

さらに、身ぶり、話し方、顔の表情など、微細な点に至るまで、前もって十分な稽古を積み、タイミングに一秒の狂いもない。

次にサーストンは、人間に対して純粋な関心を持っている。


「私の舞台を見にきてくださるお客様がいるのはありがたいことだ。おかげで、私は日々を安らかに暮らせる。私の最高の演技をごらんに入れよう。」

私はお客様を愛している

サーストン氏は、舞台に立つ時、必ず心の中で

「私はお客様を愛している」

と、何度も繰り返し唱えるという。

馬鹿馬鹿しいと思うだろうか、それとも滑稽だと思うだろうか。

しかし、これが、世界一の奇術師が用いている秘法であることは間違いない。