スーパー高齢者の秘密4
目次
脳の機能
慢性炎症は、脳にも激しいダメージを及ぼします。
代表的な例は「鬱病」です。
その原因には諸説ありますが、これまで有力視されていたのは脳の化学物質に注目した説でした。
セロトニンやドーパミンといった脳内ホルモンのバランスが崩れ、精神の不調を引き起こすという考え方です。
現在の抗鬱剤も、脳内ホルモンを調整する作用があります。
ところが、鬱に苦しむ患者のなかには、抗鬱剤が効かないケースがよく見受けられます。
ミシガン大学の研究によれば、セロトニンが少ない人でもメンタルが健康な人は多く、逆に激しい鬱病なのにセロトニンが多い人も一定数が確認されています。
もともと鬱病でセロトニンやドーパミンが少ない人は全体の4分の1にも満たず、脳内ホルモン仮説では説明がつかない状態です。
鬱病の炎症モデル
その代わりに注目され始めたのが
「鬱病の炎症モデル」です。
人体がなんらかのダメージを受けてサイトカンという炎症性の物質が分泌され、脳の機能に影響をあたえるという考え方です。
サイトカンが鬱病を引き起こす経路はまだわかっていませんが、過去に行われた2件のメタ分析でも、鬱病患者の多くにCRPやIL6といった炎症マーカーの増加が確認されています。
メタ分析は過去に行われた複数の実験データをまとめて、大きな結論を出す研究法のことで、科学的な信頼性が高い研究手法のひとつです。
つまり「鬱病の炎症モデル」は、現時点でかなり精度の高い仮説だと考えられます。
(続く)