スーパー高齢者の秘密6
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現代日本人と狩猟採集民の違い
現代の日本人と狩猟採集民の違いをまとめると、次のようになります。
・狩猟採集民=外傷や感染による短中期的な炎症がメイン。激しい発熱や嘔吐など、周囲から見てすぐにわかるような症状が出る。
・現代の日本人=体内で延々とくすぶる長期的な炎症がメイン。誰にでもわかるような症状は表に出ず、少しずつ不調が進行する。
それにしても不思議です。いかに人種が違うとはいえ、基本的に現代の日本人と狩猟採集民の身体は遺伝子的に大差がありません。
にも、かかわらず、なぜ私たちの身体は炎症レベルが高いのでしょうか?
いったいどのような要因が、知らないうちに私たちの心と身体を蝕んでいるのでしょうか?
古代と現代のミスマッチ
ここで役に立つのが、ハーバード大学の古代人類学者ダニエル・リーバーマン氏が提唱したフレームワークです。
リーバーマン氏は、古代と現代のミスマッチが起きるパターンを3つの枠組みでとらえました。
*多すぎる
古代には少なかったものが、現代では豊富すぎる
*少なすぎる
古代には豊富だったものが、現代では少なすぎる
*新しすぎる
古代には存在していなかったが、近代になって現れた
この分類を使うと、複雑だった問題の見通しがよくなります。
たとえば「多すぎる」の代表的な例はカロリーです。先進国のデータを見ると、この30年で1日の摂取カロリーは増大を続けており、70年代から、およそ400カロリー増えています。
同時に肥満率も増加を続け、過去になかったレベルで糖尿病や高血圧の発症率も上がっています。
人類の歴史
600万年の歴史の中で、人類はカロリーが足りない環境に適応するために進化してきました。
そのため、私たちの脳と身体は「低カロリー」には上手く対応できますが、「高カロリー」を処理することには、まだまだ対応が追いついていません。
高カロリーの状態が続けば、あまったエネルギーは皮下脂肪や内臓脂肪として貯蓄され、先に述べた炎症サイクルにはまり込んでいきます。
つまり、「多すぎる」は炎症につながるのです。
(続く)