スーパー高齢者の秘密7
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睡眠と炎症の関係
現代の生活で「少なすぎる」ものはなんでしょう?
物質と情報が増大を続ける現代において、古代より足りないものなどあるのでしょうか?
そこで、まず思いつくのは「睡眠」です。
現代人の睡眠は量・質ともに悪化を続けており、2010年の国民生活時間調査では、日本人の平日の睡眠時間は7時間14分でした。
これは1960年のデータより、1時間ほど少ない数字で、アメリカやドイツをふくむ先進18ヵ国と比べても、韓国についで2番目の短眠です。
睡眠不足と炎症の関係を明らかにしたデータも事欠きません。カルフォルニア大学が、2016年に72件のデータをメタ分析したところ、次の結果が得られました。
・平均の睡眠時間が1日7〜9時間の範囲を逸脱すると体内の炎症マーカーが激増する。
・夜中に何度も目が覚めてしまうような場合も、体内の炎症は増える。
どうやら現代人の睡眠のスイートスポットは7〜9時間のあいだで、これより少なすぎても多すぎても体には大きなダメージが出るようです。
ひるがえって、狩猟採集民の睡眠はどうでしょうか?
狩猟採集民の行動と睡眠
2015年、人類学者のジェローム・シーゲル氏は、ナミビアやタンザニアで94人の狩猟採集民に活動量計をつけてもらい、日々の行動と睡眠のパターンを記録し続けました。
そこでわかったのは、狩猟採集民たちの睡眠の質の高さです。
彼らの睡眠は平均6.9〜8.5時間で、この点は先進国と変わりません。
しかし、そのパターンは正確そのもので、日暮れから3時間後には必ず眠り、毎朝7時には自然と目を覚まします。
夜中に何度も目が覚めてしまうケースは一度も確認されず、みな一晩で完全に体力を取り戻していました。
目が覚めたのに寝床でダラダラしていたり、ボンヤリした頭を抱えながら狩りに出かけることもありません。
そもそも、彼らが使う言葉には「不眠」や「寝不足」のような単語すら存在しなかったというから驚きです。
狩猟採集民には寝不足の感覚など想像もつかないでしょう。
(続く)