スーパー高齢者の秘密12
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発酵食品の凄い効果
さて、腸内細菌と仲直りしたら、彼らを迎え入れましょう。
手軽で効果が高いのは「発酵食品」です。
納豆、キムチ、ヨーグルトなど、人類は大昔から数々の発酵食品を作り、微生物との仲を深めてきました。
ハーバード大学のエヴァ・セルフーブ氏は、古代の食生活に関する先行研究を次のようにまとめています。
「旧石器時代の人類は、知らずのうちに発酵食品をたくさん食べていた。(ハチミツ、フルーツ、ベリー類など)微生物の知識こそなかったが、わたしたちの祖先は、発酵食品や発酵飲料の風味と保存性、さらには精神の高揚と鎮静作用に気づいていた。人類が発酵食品を作り始めた時期は不明だが、新石器時代の出土品を分析した結果によれば、1万年前にはフルーツや米などを発酵させた酒を飲んでいた可能性が高い」
古代の人類は、地面に落ちて発酵したフルーツの汁や、微生物が自然に分解した野菜などを食べ、文明が興るよりも、はるか前から発酵食品と触れ合ってきました。
その意味で進化医学的にも正しい食品のひとつといえます。
ロンドン大学の研究
一例として、ロンドン大学の観察研究を見てみましょう。
このなかで研究チームは、約4500人の男女を10年にわたって追いかけ、チーズやヨーグルトなどの消費量と全員の健康状態をくらべました。
すると、普段から発酵食品をよく食べる者ほど心疾患や糖尿病にかかりにくく、早期死亡率も低いことがわかったのです。
さらに同時期に行われたカルフォルニア大学の研究では、発酵食品で脳機能が改善したとの結果も出ています。
こちらは女性の被験者に乳製の発酵食品を4週間ほど食べ続けてもらった実験で、やはり有意に脳の活動が活性化し、感情や注意力に関わる機能に向上が見られました。
ほかにも、キムチ、ぬか漬け、納豆、味噌、ザワークラウトといった食品にも似たような報告があり、発酵食品の凄さは疑いようがありません。
科学が認めた数少ないスーパーフードです。
毎日の食事に取り入れる発酵食品は、あなたが好きなもので構いません。
納豆でもキムチでもザワークラウトでも、発酵食品であれば腸内環境に良い影響をあたえます。
すべての発酵食品は、それぞれに特有の細菌を持っています。
ヨーグルトならサーモフィラス菌
味噌ならハロフィラス菌
キムチならラクトバチルス・プランタルム菌といった具合です。
同じものばかり食べると腸内細菌の多様性が限られてしまうので、できるだけ幅広いジャンルの発酵食品を取り入れるのが良いでしょう。
(続く)