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疲れを癒す自然と友人4

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成人発達研究

もうひとつ興味深いのが、ハーバード大学が行った「成人発達研究」です。

これは1939年からスタートした研究で、約80年間にわたって724人の人生を記録し続けたものです。

全員が10代の学生だったころから調査を始め、定期的に体調や幸福度を尋ねるのはもちろん、かかりつけの医者からカルテを手に入れたり、家族との会話をビデオで収めたりと、膨大な労力が注ぎ込まれました。

参加者の行く末は幅広く、弁護士や医者になった者、サラリーマンや工場労働者になった者、ボストンのスラム街でホームレスになった者まで様々です。

彼らの多様な人生をすべてパッケージ化した上で、「人間の幸福にとって最も大事なものとは?」の答えを数字で割り出したわけです。

研究のリーダーであるロバート・ウィルディンガー教授は言います。

「彼らの人生から得られた、何万ページにもなる情報から明らかになった事はなんでしょう?それは富でも名声でもがむしゃらに働くことでもありません。私たちの体を健康にし、心を幸福にしてくれるのは『良い人間関係』です。これが結論です。」

考えてみれば当然です。いくら富や名声を得ようが、病気にならない完璧な肉体を持とうが、人類の3つの感情システムは最適化されません。

身近な人たちとの関係が悪ければ「満足」の機能は活性化されず、手に入れたものはすべて無になってしまいます。

良い友人の重要性

もしあなたが幸福よりも富や名声を追うタイプの人間だったとしても、良い友人の重要性は変わりません。

「成人発達研究」のデータでは、人間関係が悪い人にくらべて、良い友人が多い人は3倍も仕事で成功しやすく、年収も高い傾向がある見られたからです。

再びウィルディンガー教授の発言を引きましょう。

「良い人間関係は私たちの脳も守ってくれます。周囲との良い関係を80代までキープできた人や、何か困った時に助けを求められる相手がいる人は、はっきりした記憶を長く持ち続けられます。しかし、困った時に頼る相手がいないと、早い段階で記憶力が低下し始めるのです。」

孤独から来る炎症で体調が崩れ、さらには脳の機能まで衰えてしまうのだから、仕事のパフォーマンスが下がっていくのは当たり前の話しでしょう。

幸福、富、名声、健康は、すべて人間関係の土台があってこそです。

最新の科学からみれば、「自然を大事に」や「友人を大切に」といったフレーズは古臭いお説教などではありません。

遺伝と環境のミスマッチが起きた現代においては、「自然」と「友人」への投資こそが、もっとも効果が高い行為なのです。