第29回にっぽんのおどり全国大会その4
目次
本番を終えて
本番を終えて舞台の袖に引っ込んだ時、これから踊るであろう方々の横を通り過ぎて、控え室に戻ろうとする私に、祝福の声をかけてくださった方がいらっしゃっいました。
これから踊るのにわざわざ声をかけてくださったあの方がどなたかはわからなかったのですが、私は恥ずかしかさもあって「ありがとうございます」とだけしか言えずに足早に舞台の袖から控え室に戻りました。
ずいぶんと余裕のある方だなあ、と思いながらも自分が真剣に踊った後にそのように言ってもらえるのは、とても光栄なことで、これから踊るのにそのように声をかけてくださった方に感謝です。
人が舞台に立つ時
人は舞台に立つ時、どのような心境なのでしょうか。緊張、挑戦、歓喜、悦び、快感、陶酔、恐怖、自己顕示、自己開示、自己嫌悪、真剣、一生懸命、後悔、逃げたい、やらなきゃよかった、やめておけばよかった、やってよかった、私を見て、私を見ろ、無心、丁寧、今だけしかできない、気負わない、ためらわない、躊躇しない、恥ずかしい、気持ちいい、我を出すな、我を出せ、欲張るな、調子に乗るな、我を捨てろ、我をしまえ、欲を出すな、欲を出せ、欲をかくな、頑張れ、やり切れ、やり切れる、動け…
と、私が舞台に立った時には、このようなさまざまなことが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えていきます。
古来より伝わる踊りを、無になって自分の体を通してただ表現するという境地にはほど遠いですが、華音先生から学び教わることにより、少しでもその境地に近づきたいものでございます。